- 認定看護師ミニコラム
- Certified nurse column
2021年08月24日掲載
札幌医科大学附属病院 看護部 新生児集中ケア認定看護師
加藤久代NICUにおけるマスクの着用下での面会について
新生児集中ケア認定看護師の加藤久代です。
今回は、コロナ禍におけるNICU(新生児集中治療室)における、マスクの着用下での面会について話したいと思います。
コロナ禍以前の当院NICUでは、面会者のマスクの着用は必要ありませんでしたが、現在は新型コロナ感染症への対策として、マスクの着用が必須となっています。このような状況が1年以上も続き、医療者である私たちは、NICUに入院中の赤ちゃんとのコミュニケーションやご両親への指導を、マスク越しに行うことが日常化し、違和感を抱かなくなりました。そんな中、入院中のお子様のお母様から、「退院したら、やっとマスクをしていない私たち(ご両親)の顔を、●●ちゃんに見せてあげられる!」という言葉を聞き、ハッとしました。マスクの着用による親子間の相互作用の弊害について、気付かされたからです。
子どもの成長・発達にとって、親子間の相互作用が重要なことは言うまでもありません。新生児は、さまざま感覚機能を活用し、両親を認識する学習を行っていますが、その1つに視覚が挙げられます。新生児の視覚は、視力が0.03~0.05程度(生後6カ月で0.1程度)、焦点は20~30㎝と言われているので、かなりぼんやりと見えているようです。このことを考えると、新生児が、約半分をマスクで覆われている両親の顔を認識するのは、至難の業のように思います。
しかし、NICUに入院中のお子様は免疫力が弱いため、新型コロナ感染症への予防が非常に重要です。マスクの着用が必須な現在は、視覚以外の感覚機能へのアプローチをご両親へ案内し、面会時のケアへ積極的に取り入れていきたいと考えます。NICUに入院中のお子様が、マスクの下に隠れているご両親の笑顔を直接見ることが出来る日を、待ち遠しく思います。