- 認定看護師ミニコラム
- Certified nurse column
2021年09月30日掲載
札幌医科大学附属病院 看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師
長谷川 将オスメイトへの理解
今回コラムを担当させていただきます、皮膚・排泄ケア認定看護師の長谷川です。3月のコラムにもありました、皮膚のケアと排泄に関する認定看護師の一人です。
現在私は、消化器外科病棟に勤務しております。また消化器外科で、人工肛門(ストーマ)を造設する手術を受けた患者さんが、退院後の生活で困らないようにケアをする、ストーマ外来を担当しています。
ストーマを造設された方のことをオストメイトと呼びます。オストメイトの方は、ストーマから排泄される便や尿を溜めるストーマ装具という袋を、腹部に装着して生活することになります。服を着てしまえば、ストーマ装具は見えず、一見健常な方にも見えてしまいますが、服を着ていてもストーマ装具の部分が膨らんでいたり、音がしたり、臭いが気になったりと、様々な不安を抱えて生活されています。また、ストーマ装具は粘着面で腹部に貼られた状態ですので、日常の動きや発汗などで剝がれてしまう危険性や、排泄物によって皮膚がただれてしまうこともあります。
ストーマ外来を受診された時に、「仕事に復帰できた」「温泉に行ってきた」「友達と食事を楽しむことができた」「旅行に行ってきた」「ゴルフが上達した」などのお話を伺うと、家族の事のように一緒に喜び、うれしさで心が温まる思いをします。逆に「まだできていない」という方には、少しでも不安を減らせるよう、やりたいことができるようにと支援をしています。ストーマを造設していることは病気ではありません。病気を治療するためのより良い状態です。手術する以前の生活に近づけられるよう、人生をもっと楽しんでもらいたいと思っています。そのためには、周囲の理解や環境も大切です。
先日、「海に行ってきたけれど、水着にはなれないね。」という方がいらっしゃいました。薄着になる夏は、ストーマ装具が目立ちやすいです。まして水着では・・・。オストメイトの方への理解が進み、すべての人がストーマ装具を気にすることなく生活できるようになれば、水着で普通に海水浴を楽しめるのではないでしょうか。そんな世の中になるよう、少しでも役に立てるように、日々ストーマケアを行っています。