認定看護師ミニコラム
Certified nurse column

 2022年03月01日掲載

札幌医科大学附属病院 看護部 緩和ケア認定看護師

田中幸恵

 日常のケアの中で実践するスピリチュアルケア

患者さんが抱える苦しみの中で、日頃あまり対応することがないスピリチュアルペインについて、「どのように対応したらよいのかわからない」「特別なケアで難しそう」と感じている方は多いのではないでしょうか。今回は、日常のケアの中で実践するスピリチュアルケアについて書きたいと思います。

スピリチュアルペインは、「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」と定義され、患者さんにとってつらい現状である自分自身を受け入れられずに生きていかなくてはならないことで生じる苦しみです。命が脅かされるがんなどの患者さん、自分が自分であるという意識が徐々に失われていく認知症の患者さん、不慮の事故などで身体に障害を負い、これまでできていたことや役割ができなくなった患者さんから「生きている意味がない」「何も役に立たない」「迷惑をかけて申し訳ない」「誰もわかってくれない」「なぜ私がこんな目に」「早く死にたい」」という言葉を聞いたことはありませんか。

このようなスピリチュアルペインを抱える患者さんに対し、看護師が気を付けなくてはならないことは、スピリチュアルペインを単に「苦痛」という症状として捉え、問題解決を目指して取り除こうとしないことです。スピリチュアルケアにおいては、「人との関わり」が大切となります。家族や看護師との関わりを通して、患者さんが「自分は大切にされている存在なんだ」と感じることで、つらい現状にある自分自身を「このままの自分でもいいんだ」と肯定し、自己受容に繋がります。すごく難しいと感じるかもしれませんが、普段はスピリチュアルケアとして意識することもないような日常のケアによる関わりが、結果としてスピリチュアルケアとなります。私たち看護師は日頃から、患者さんを尊厳ある人として接し、あらゆる場面において患者さんの希望や意向を尊重してケアをしています。清拭の時には、寒さや苦痛がないように配慮し、患者さんの習慣や希望に沿って、不安がないよう声掛けしながら行います。食事介助や体位変換も同じように行っています。こういった日常のケアをひとつひとつ丁寧に行う関わりがスピリチュアルケアに繋がっていきます。スピリチュアルケアには患者さんのスピリチュアルペインに合わせた個別的なケアもありますが、日常のケアを通して行うスピリチュアルケアがあってこそ意味あるものとなります。スピリチュアルケアを特別なケアと考えず、日頃行う日常のケアの中でスピリチュアルケアを意識して実践してみませんか。

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